レピュテーションとは?その意味やリスク発生の原因、対策法まで解説
企業活動の上で、「レピュテーション」と呼ばれる企業の評判や信用は非常に重要です。
適切にマネジメントすることで悪化を防ぐことができるレピュテーションですが、そもそもレピュテーションとは具体的にどのようなもので、どのようにマネジメントを行うべきなのか分からないという方もいるのではないでしょうか。
今回はそんなレピュテーションについて、その意味やレピュテーションリスクと呼ばれるリスク発生の原因など、概要を重要性やマネジメント方法とともにご紹介していきます。
リスク対策の際には、ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
1. レピュテーションとは?

レピュテーションとは「評判」や「評価」を意味する英語で、ビジネスシーンでは、企業や商品が世間からどのように思われているのかという評価を表します。
情報セキュリティの分野では通信相手の行動履歴から相手の危険性を判断するという意味で使用されることが一般的であるため、IT関連のビジネス相手とレピュテーションについて話す際は、どちらの意味で使っているのかを確認すると良いですね。
今回は、ビジネスシーンで主に使われている意味のレピュテーション、企業の評判について見ていきましょう。
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1-1. 「ブランド」と「レピュテーション」の違い
レピュテーションに似た言葉に、「ブランド」があります。
簡単に言えば、「ブランド」は企業や商品が持っている固有のイメージのことを指しており、「レピュテーション」は、企業や商品が社会からどういった認識をされているか、どの程度信頼されているかという外部からの評判を意味しているという違いがあります。
ブランドは企業がつくり上げて行くものですが、レピュテーションは外部から大きく影響を受けるものであるということです。
ブランドはもちろんですが、この外部からの評判を管理することが、売上など企業活動において大切になるということです。
1-2. レピュテーションリスクとは
企業の悪評やネガティブな噂などが広まって信用や評価が低下し、レピュテーションが悪化してしまうリスクのことを、「レピュテーションリスク」と呼びます。
「風評リスク」「評判リスク」とも呼ばれ、企業経営にとって悪影響を及ぼす可能性のあるものです。
今後企業として成長したい場合には、このレピュテーションリスクに向き合い、マネージメントをすることが必要でしょう。
1-3. レピュテーションリスクが重要視される背景
インターネットが発達している現代では、企業にとっても認知度を向上させるために活用されている反面、SNSなどにより個人が情報を発信・拡散することも容易になっています。
情報の真偽に関わらず企業への悪評や噂も非常に拡散しやすく、経営にも大きく影響してしまうでしょう。
そのため、こういった被害をできる限り未然に防ぐためにもレピュテーションリスクの管理や対策が重要視されているのです。
2. レピュテーションを向上させるメリット

企業の成長には、リスクを考えるだけでなくレピュテーションを向上させることも必要です。
レピュテーションを向上させることで、以下のようなメリットが得られます。
2-1. 企業の知名度向上・販売チャネルの拡大につながる
レピュテーションを向上させることで企業価値は高まり、企業の知名度をポジティブに向上させることができるでしょう。
それによって売上や融資の増加も見込むことができ、販売チャネルを拡大することが可能になります。
販売チャネルが拡大すれば、これまで企業に興味のなかった新規の顧客を獲得することにもつながります。
評判が評判を呼び、企業の規模を大きくすることができるということですね。
2-2. リピーターの獲得
レピュテーションを向上させることで、企業やサービスへの信頼感が生まれます。
この企業の商品やサービスであれば安心できると顧客に印象付けられれば、優先して選ばれるようになるでしょう。
リピーターの増加にもつながり、安定した収益が獲得できる可能性があります。
一方で、レピュテーションの低い企業は企業のイメージのみで判断され敬遠されてしまう可能性があります。
レピュテーションの低下は、長期的な売上に影響することもあるでしょう。
長く選ばれる企業になるためにも、レピュテーション対策に力を入れると良いですね。
3. レピュテーション悪化による悪影響

それでは逆に、レピュテーションが悪化してしまうことでどのような悪影響を及ぼしてしまうのでしょう。
この章では、レピュテーション悪化による悪影響にはどのようなことがあるかをご紹介します。
3-1. 売上減少
レピュテーションの悪化は、企業のイメージを低下させ長期的な売り上げ減少を引き起こすこともあります。
売上が減ると、企業活動が困難になるかもしれません。
万が一のレピュテーション悪化に備えて、資金繰りがスムーズになるように対策をとる必要があるでしょう。
3-2. 企業ブランドの毀損
レピュテーションの悪化は、企業ブランドを大きく損ないます。
今まで築き上げてきたブランドイメージを毀損する可能性もあるでしょう。
一度崩れたブランドイメージは、簡単には戻りません。場合によっては、ブランドを新たに作り直す必要があるでしょう。
3-3. 従業員の離脱
レピュテーションが悪化すれば、優秀な人材が離れていく可能性もあります。
悪評が事実であったり、重大なものである場合責任を取ることが求められて、優秀な取締役が退任せざるを得ない状況に追い込まれることも少なくありません。
さらに、新しく会社に入社したいという新卒や転職者の数や質も低下することでしょう。
従業員の離脱は、その後の会社運営に大きな影を落とします。
レピュテーションの悪化は対外的な影響だけでなく、内部にも問題を起こしかねません。
3-4. 処理への人員・金銭的な支出
世間的に大きな問題が起これば、その処理に人員を割かなければなりません。
そのため、本来の業務が滞り、会社運営に影響を与える可能性があります。
また、情報漏洩や商品の不具合などが起これば、補償金の支払いが必要になることも少なくありません。
想定外の支出は、会社の資金繰りを悪化させることもあるでしょう。
人員や金銭的な支出が最小限になるように、対策を取らないといけません。
3-5. 取引先の離脱
レピュテーションが悪化すれば、取引先も離れていくことがあります。
取引先に事情を説明しても、ユーザーからの評判による被害が予測され納得してもらえない可能性もあるでしょう。
主要な取引先を失ったり、金融機関からの融資が打ち切られてしまったりといったことがあれば、企業生命に大ダメージを与える恐れもあるでしょう。
4. レピュテーションリスクが発生する原因

このような様々な悪影響を及ぼすレピュテーションリスクは、いったいどのような原因で発生してしまうのでしょうか。
レピュテーションリスクが発生してしまう主な原因として、次のようなものが挙げられます。
- ・デマや風評被害
- ・従業員の不祥事
- ・過大評価の誘導
- ・内部告発
- ・商品・サービスの質低下
- ・同業他社の業績悪化や不祥事
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1. デマや風評被害
まず、事実ではないデマや単なる噂が事実のように広がってしまうことによるものです。
SNSで気軽に拡散ができてしまう近年では、情報を精査せず拡散してしまう人も増加しており、根拠のない情報でも一瞬のうちに広がってしまい、風評被害を招くリスクとなることが多くあります。
少しでも被害を防ぐために、日ごろからクリーンな経営を意識することや、専門会社などで効果的に行える風評監視を活用すると良いでしょう。
4-2. 従業員の不祥事
話題になっていたバイトテロや社員による情報漏洩、また不適切な言動など、従業員の不祥事も火種となることが多くあります。
社員が個人的に起こした問題であっても、企業の監督責任は問われることになるでしょう。
アルバイト・正社員など立場を限定せず、コンプライアンスの順守を徹底するように研修を重ねる必要があります。
4-3. 過大評価の誘導
レピュテーションリスクは、企業の商品や企業が過大評価されていると起きやすいものです。
適正な評価に繋がらないような広告やブランディングは、避けた方がいいでしょう。
例えば国産の肉を取り扱っているとアピールしていた企業が、実際は外国産の肉を使用していたことが発覚しては、信頼を損ね大きなブランドの損失となるでしょう。
企業が国産ではなく、美味しいということのみをアピールしていたら起きなかったレピュテーションリスクとも言えますので、アピールすべき点を見極め、誇大な評価は行わないように注意しましょう。
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4-4. 内部告発

不適切な労働環境である、従業員の不正な行為があったなど、従業員が不審に思う点があれば内部告発が発生する可能性もあるでしょう。SNSなどで告発が行われ、その情報が拡散すれば、レピュテーションを悪化させてしまうリスクになります。
しかし、こちらも日ごろからクリーンな経営を行っていれば回避しやすいリスクです。
前提として、不正は行わないようにしましょう。
4-5. 商品・サービスの質低下
次に、商品・サービスの質低下です。
品質が低下し、SNSで「サービスの質が下がっている」「商品の品質が落ちた」などとネガティブな投稿が拡散してしまえば、ブランドイメージの低下や競争力低下を招くリスクとなってしまうでしょう。
レピュテーション維持のためにも、常に品質管理は徹底し、顧客のニーズに応えること、また積極的なフィードバックの収集と改善を心がけましょう。
4-6. 同業他社の業績悪化や不祥事
自社の問題だけではなく、実は同業他社の業績悪化や不祥事も、レピュテーションリスクのひとつになり得ます。
同業他社が業績悪化していることが明らかになったり、不祥事が話題になったりすれば、「もしかしたら業界自体が危険なのかもしれない」「業界自体の経営が難しいのかもしれない」といった憶測が広がってしまうことも考えられます。
ネガティブなイメージが先行してしまうことで結果的に本当に経営に響いてしまうということもあり得ないことではありません。
積極的に情報発信を行うなどして、影響を受けないように注意しましょう。
5. レピュテーションリスクの実際の発生事例
レピュテーションリスクが実際に顕在化した事例もいくつかご紹介します。
5-1. 個人情報流出の事例
まずは、個人情報流出という不祥事での事例です。
大手通信会社で約900万件もの顧客情報が流出してしまった際には、責任を問われた当時の社長の辞任にまで発展しています。
また、顧客からの信頼を失ってしまったことで、解約や新規契約の減少も相次ぎ、経営の悪化を招くなど企業に大きな悪影響を及ぼすことになりました。
5-2. アルバイトによる「バイトテロ」
「バイトテロ」とは、アルバイトが職場内での不適切行動をSNSなどで投稿することで、企業のイメージ低下などの損害を与える行為です。
バイトテロによるレピュテーション低下は、SNS炎上からのレピュテーションリスク顕在化の事例ですね。
バイトテロによる炎上事例は多くあり、中にはレピュテーション低下から顧客離れなどにつながり、店舗が閉店や破産にまで追い込まれた事例も見られるでしょう。
5-3. 商品表示偽装
続いては、商品表示偽装です。
とある企業では、食品の産地を偽装していたことが発覚し、消費者からの信頼を失ったことで事業停止に至っています。
商品表示偽装は過大評価など実際とのギャップを生むだけでなく、企業の不正行為として信頼性を大きく損なってしまうでしょう。
安全性・品質に不安を持たれてしまった企業が再度評判を高めるのは非常に難しく、長期にわたる悪影響が考えられます。
6. レピュテーションリスクの評価方法

レピュテーションリスクの対策の前に、そもそも自社にはどの程度のリスクがあるのか知っておきたいところですが、レピュテーションリスクを評価する方法はあるのでしょうか。
レピュテーションリスクの評価方法としては、
- ・SNS分析
- ・報道調査
- ・アンケート・インタビュー
などでステークホルダーの意見・企業への評判を収拾・改善点の特定などを行う方法があります。
アンケートなどは匿名での回答にすると、より正直な意見を得られるでしょう。
レピュテーションの低下による損失の具体的な金額などを定量化するのは難しいですが、これらにより自社のレピュテーションがどうなっているかを知ることが可能です。
7. レピュテーションリスクへの対策方法
それでは、レピュテーションリスクへの対策を行い、効果的にレピュテーションをマネジメントするためには、どうすればよいのでしょうか。
レピュテーションリスクへの対策方法を詳しくご紹介していきます。
7-1. 法律を理解する

まずは、法律を理解しましょう。企業の経営者が法律を理解していないことで、レピュテーションリスクが高まる可能性があります。
例えば社員が過労の結果に命を落としてしまうような大きな事件も、企業が労務上の法律を守っていれば防げる問題です。
さらに大きな事件にならなくても、企業が法律違反をしていることは元社員のSNSから発覚することも少なくありません。
内部告発による発覚だけでなく、該当の元社員自体も法律を理解しておらず、企業全体で違反だと気づかずにやってしまっている、というケースもあるでしょう。
会社全体で法律を遵守するように、研修や外部の監査を受ける必要があるでしょう。
7-2. 社員教育を充実させる
社員教育を充実させることも、レピュテーションをマネジメントする際に大切です。
社員の軽率な態度が、レピュテーションリスクを引き寄せる例も少なくありません。
例えば、
- ・アルバイトの不適切動画の炎上
- ・派遣社員へのセクハラ
- ・顧客情報の流出
- ・上司からのパワハラ
など社員による問題行為は、社員教育で防ぐこともできるでしょう。
アルバイトも含めた全社員に向けて、
- ・情報セキュリティ
- ・ネットリテラシー
- ・コンプライアンス
- ・適切な人間関係
などについての研修を行いましょう。
また、ひとりひとりの意識を高めるためには、リスクが顕在化することでどのような影響があるのかを事例とともに学んだり、ケーススタディによって実践的に研修を行ったりという方法も効果的です。
7-3. 危機対策マニュアルを作成する
万が一の際にすぐに対策ができるように、マニュアルを制作しておくといいでしょう。
レピュテーションリスクは、どの企業に起きても不思議ではありません。
その後大きな問題になるかどうかは、企業の対応に左右されるものです。
企業の対応が後手に回り、更にSNSでバッシングを受けたという例は少なくありません。迅速に行動することで、レピュテーションリスクを最小限に抑えることもできるでしょう。
社員の数が少ない企業は危機対策マニュアルを作成して、各自の役割をあらかじめ決めておくこともおすすめです。
7-4. ポジティブな情報発信を行う
レピュテーションマネジメントの一環として、SNSや企業HPを活用したポジティブな情報発信を行いましょう。
企業の信頼性・イメージ向上を目指し、例えば社内のイベント風景を発信する、地域社会や環境への貢献活動を行う、企業の強みや理念を発信するなど、積極的かつ継続的にポジティブな発信を行うことで、長期的なレピュテーションの強化につながります。
7-5. 労働環境を改善する
内部告発だけでなく、不祥事の発生や商品・サービスの質低下など、様々なレピュテーションリスクの原因となる事象を招くのが、労働環境の悪化です。
劣悪な労働環境により不満を持った社員が内部告発を起こす、ストレスの発散としてバイトテロなどの不祥事を起こすなどといったことはもちろん、長時間労働による疲弊やモチベーション低下などで、サービスの質が下がってしまうこともあるでしょう。
そうならないためにも、人員配置を考える、業務改善や長時間労働の是正を行うなど、従業員とコミュニケーションを取りながら労働環境を改善していきましょう。
7-6. SNS監視
レピュテーションリスクとなるような情報・投稿をいち早く見つけるために効果的なのが、SNS監視です。
炎上などの原因となりそうな投稿を拡散される前に発見し、迅速に対処を行うことで被害を最小限に抑えることができます。
人の目により有人監視を行う方法やモニタリングツールの導入などで自社でも対策可能ですが、リソースを自社業務に集中させることや、知識を持つ専門家により効果的に監視・対処を行ってもらうためにも、専門の対策会社に監視を委託するのも良いでしょう。
7-7. 専門家に依頼する
社員教育など自社で行える対策ももちろんありますが、レピュテーションの向上などを効果的に行うためには自社では限界があるでしょう。
そこでおすすめなのが、レピュテーションマネジメントや企業のブランディング事業などを行う専門の会社に依頼するということです。
こういった専門の会社では、現在の課題を把握し、実績と経験に基づいたノウハウでより効果的なレピュテーション向上を目指す施策を行ってくれるほか、レピュテーションリスクを調査し、被害を未然に防ぐことも可能です。
また、レピュテーション悪化により実際に被害を受けてしまった場合にも、迅速に対応を行ってくれるでしょう。
何をすればよいか分からないという場合にも、まず相談してみると良いですね。
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また、レピュテーションマネジメントには、まずは企業のレピュテーションリスクに関して知ることが重要です。
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9. まとめ
今回は、現代での企業活動に非常に重要となるレピュテーションについて、そもそもレピュテーションとは何なのか、またマネジメントの方法についてご紹介しました。
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様々な悪影響から守るためにも、企業規模に関わらず必要になるものです。
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